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男運は悪くなかった。

男運は悪くなかった。

語弊を恐れずに言わせて貰うと、僕の男運は、決して悪くなかったと思っています。

友人、恩師、バイトの店長、バイトの社長、作業所の所長、様々な縁で繋がれてきました。

その存在のお陰で、その存在に憧れ、いつの間にか僕自身も成長する事が出来たと思います。

僕の人生に於いて、その出逢いは間違いでは無かったと思っています。

そしてこれから出遭う初めて尽くしの出来事の数々にも、前のめりに立ち向かっていけるような気がします。

『男運は悪くなかった』

ドア越しに嬉野は立っていた。

そこは13年間、部屋から外に出て来ない一人の青年の家の廊下だった。

「出て来いよ!」

嬉野はドアをノックした。いや、それはもうノックではなく、ドアに向かって拳をぶつけているようだった。

それは、嬉野の心の叫びにも似た激しいものだった。

部屋の中では、青年は一人ドアのすぐ傍で、うずくまり膝を抱えて座っていた。

そして青年は、ドアに耳を当てて、涙を流していた。

外に出たくても、出られないその苦悩の涙だった。

嬉野はドアの外側で、彼の苦悩を共有しようとしていた。

青年の引きこもりになる迄の時間を青年の生い立ちを追っていく事で共有しようとしていた。

「大丈夫、何も心配する事はないんだよ」

嬉野は青年に、自分の意志で病院に入院をして欲しかった。

だから、嬉野は青年と真剣に向き合って、今、このドアの前に立っていた。

嬉野は、自身が精神科に入院する時の事を思い出していた。

大丈夫、何も心配する事はない――、その言葉は、且つての嬉野が芳樹に掛けて貰った言葉と同じだった。

  1. 真由美 より:

    男運は悪くなかった。
    きっと、アツシさんが気付かずに過ごしてただけで、女性との出会いも悪くなかったのではないかもしれないですよ?男と女は恋愛だけが全てでは無く、男女の友情もありますものね(^^)

    • アツシ より:

      返信、ありがとうございます。僕も男女の仲の友情を信じます。ありがとうございました。

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