統合失調症な800文字小説。

統合失調症な800文字小説。

その本屋には僕の本が置かれてあった。

その本屋には、僕の知らない素敵な本ばかりが置いてあった。入口のドアのベル、一瞬今を忘れてしまうような古ぼけた内装。決して大型書店では探せないようなセレクション。奥の席には、丸眼鏡を掛けてメイドと間違えるような白と濃紺のフリルの付いたゴスロリ...
統合失調症な800文字小説。

今日の明日はまた今日。

今日の明日はまた今日。時計の秒針をみていても何もアイデアなんか浮かばない。僕は一向に成り上がりにもなれず、ノートパソコンのキーボードを叩くだけ。言霊ってホントにあるんだとその時思った。その言葉は言霊になり、どうしようもない言葉はどうしようも...
統合失調症な800文字小説。

クレープに包まれるように僕は眠る。

これは何処迄が物語で何処迄が生活なんだろう。生活は決して物語のようにハラハラドキドキな毎日ではないが、それでもLINEチャットでは、『今日、何時に寝るの?』とか、 『今日の晩御飯はミートソースのナポリタンだった』とか、帰宅してからは自分の周...
統合失調症な800文字小説。

それは他人が評価するものではない。

今が生活的には最高の時だ。だが、今が一番精神的には最悪の時だ。体と精神のバランスが取れていない。 他の人に言わせれば、僕は可哀そうな毎日を送っているように見えるかも知れない。 家と職場の往復、自由に使えるお金は職場の宅配業者の昼ご飯のお弁当...
統合失調症な800文字小説。

脳みそが溢れ出しそう。

脳みそが溢れ出しそう。そんな事、誰かに言っても上手に伝わることはない。だけど、この苦しみを誰かと共有したい。そうする事で、私はその誰かに救われるから。祈ってる時間なんか無い。止めどなく襲って来る幻聴と妄想に只、たじろいでいるだけ。僕は今日も...
統合失調症な800文字小説。

くたびれたビニール傘。

クタビレタ透明のビニールの置き傘。帰りはじぶんひとりで帰れの合図。一時間前から、白色のライトバンが停まっている。精神病院のロゴが側面には貼られている。ぼくは迎えを待っていた。雨は止んできていた。 ぼくは自分の履いているメーカーが何処だか分か...
統合失調症な800文字小説。

家族への謝罪。

友人と知り合いの違いって何だろう、ふと、そう思った。そう思ったに至る迄には、長い長い紆余曲折を経ての事なのだが、知り合いなのに尊敬出来る人であったり、友人なのに、心が通じ合わなかったりする場合もある。 前者の方は、自分が思い悩んでいる時に、...
統合失調症な800文字小説。

熱い掌。

けれど僕は振り向かなかった。背後からは 僕を誘う可愛らしい声が聴こえて来た。 「待ってよ~、もっと遊びましょうよ」 黒く溶けたカラメルのような甘い味付けのした声が、僕を絡めとるように聞こえた。 だけども僕は振り向かない。 その声とは裏腹に、...
統合失調症な800文字小説。

彼は僕の事を面白いと言ったが、面白いって何?

彼は僕の事を面白いキャラクターだと言った。 面白いってどういう事だ。例えて言うなら、駅前のモニュメントの柔和な曲線と鋭利な先端の前でフォークギターを弾き鳴らして歌う路上ライブのシンガーのよう。 余計に分からなくなってしまった。 要するにその...
統合失調症な800文字小説。

枕を涙で濡らす時。

彼は無言だった。僕も無言でいたかった。けれど氷山から切り取られたような氷一杯のグラスに入ったコークハイは、僕をお喋りにさせた。彼はビール一杯では何ともないような酒好き、酒豪だ。彼は僕の次から次へと止めどない喋りに付き合ってくれていた。彼が彼...
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