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小説『愛が何かも分からないけど』作品紹介

「あなたは今ちょっと勘違いしてるだけなのよ」

さとみは黙っていた。

「あなたはまだ若いから分からないでしょうけど、障がい者と付き合っていくと言う事が、どんなに大変な事か」

「野々村さんは私を守ってくれました。障がい者だからとか、関係なく、野々村さんは強い人です」

「あなたはとても危険な事を今日、この子にさせたのよ」

「え・・」

「もし、その時統合失調症が再発しておかしくでもなったら、この子、死んでたかも知れないのよ。もしかしたら相手に危害を加えてたかも知れない。あなたはこの子を犯罪者にするところだったのよ?」 

すると今まで黙っていた大輔が口を開いた。

「私達は芳樹の家族だから、芳樹が外で奇声を発しようと、暴れようと、ちゃんと芳樹を診ていられるんです。でも他人の君には、芳樹が外で騒いだ時に、私達家族と同じように芳樹を助ける事が出来るかと聞いているんです」

佳代子がさとみに言った。

「この子は障がい者なのよ。あなたの中途半端な気持ちがこの子を結局悲しませるの。それで悲しい思いをするのは、この子なのよ、あなた無理でしょ?この子がいきなり叫び出すのを、恥ずかしがらずに止められる?」

佳代子は語気を荒げた。

「私達は家族だから、芳樹がいくら幻聴や妄想で騒いだとしても、我慢できます。家族だからね。さとみさん、それがあなたには出来ますか?その自信がありますかと聞いているんです」

大輔はゆっくりとさとみに言った。

「それは・・・」

「この子の事は諦めて下さい」

佳代子が早口で言った。

「芳樹さんの事を愛しています!」

さとみがきっぱりと言った。  大輔の目を見て、はっきりと言った。それは今さとみが言えるただ一つの想いだった。

この小説は、統合失調症当事者のややセンシティブな悩みが書かれた内容の小説になりました。

劇中の母親のセリフで「愛が何かも知らないくせに、何言ってるのよ!」という言葉は、

親が子供を愛するが故に出た言葉だとも思えます。

この物語は、家族の愛情の物語だとも言えたでしょう。

『愛が何かも分からないけど』発売中。

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