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逢坂 純著『話し相手、聞き上手 統合失調症の僕と姉との対談集』幻聴「ぷっちょ」を姉と笑い飛ばす。統合失調症のリアルを姉弟で語る

逢坂純著書『話し相手、聞き上手 統合失調症の僕と、姉との対談集』(2023年刊)は、著者自身が20年以上にわたり向き合ってきた統合失調症の日常を、姉とのリアルな会話を通じて描いた当事者本です。
これまでの『僕の頭の中のぷっちょ』シリーズが主に一人称の内面告白や小説的表現だったのに対し、本書は対談形式という新しいアプローチを取っています。
LINEや電話での日常会話をほぼそのまま収録した、赤裸々で生々しい「生の声」が最大の特徴です。
各章は質問と答えが自然に交錯し、姉のツッコミ(「T・S・K!」=統合失調症の基本症状、「ぷっちょ」など)が軽快に飛び交います。
会話はユーモアたっぷりで、深刻な症状を笑い飛ばすような軽やかさがありながら、家族の心配や現実的なアドバイスがしっかり入っています。
あとがきでは姉が「普段の子供みたいなLINEをそのまま載せてしまっていいものか」と振り返り、著者は「姉がどれだけ現実的に見てくれているかを実感した」と締めくくっています。
まさに「話し相手」であり「聞き上手」な姉の存在が、著者の支えであることが伝わってきます。
幻聴(ぷっちょ)を「しょっちゅう色々な人に悪口言われてる気がする」と表現したり、妄想を「T・S・K」とラベル付けして笑うやり取りは、教科書的な説明では伝わりにくい「当事者の内側」をリアルに感じさせるでしょう。
急性期のエピソード(橋の上から飛び降りそうになった話、ヘッドバンキングなど)は衝撃的ですが、姉の「病気だからそういうものだと思って気にならんかった」という落ち着いた反応が、家族の視点も同時に提供してくれます。
多くの当事者本は当事者目線のみですが、本書は姉の「客観的で現実的」な目線が加わることで深みが増します。
姉は症状を「T・S・K」と軽く受け止めつつ、煙草の減量や自立の準備、作家活動のアドバイスを具体的にします。
家族が「どう向き合えばいいか」のヒントにもなります。
症状の重さを「ま、いっか!」で断ち切る姉の言葉や、著者の楽観的な性格が印象的です。
病気を「悪いことばかりじゃなかった」と振り返り、周囲への感謝を繰り返す姿勢は、読む人に「統合失調症でも心豊かに生きられる」というメッセージを届けます。
レビューでも「ハンディキャップを持っていても心豊かに生きられる」「励まされた」といった声が見られます。
タイトル通り、著者は「話し相手」として症状をオープンにし、姉は「聞き上手」として受け止め、時にツッコミを入れます。
この関係性自体が、精神障害を抱える人々と周囲の人々がどう関わればいいかの好例になっています。
当事者の内面がわからない人にとって、姉の視点が非常に役立つはずです。また、精神疾患のイメージを「怖い」から「人間らしい日常」に変える一冊で、健常者の方にも読んで戴きたいです。
他の作品(特に『僕の頭の中のぷっちょ』シリーズ)と併せて読むと、急性期から現在までの軌跡がより立体的に理解できます。
本書は「症状を隠さず、家族と一緒に笑いながら生きる」姿勢を体現した、温かくも力強い対談集です。
統合失調症の理解を深めたい人、家族とのコミュニケーションに悩む人に特におすすめの一冊です。
読後には「ま、いっか!」という軽やかな言葉が、心に残ると思います。

話し相手、聞き上手: 統合失調症の僕と、姉の対談集 統合失調症当事者本 t.co

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