『話し相手、聞き上手 統合失調症の僕と、姉との対談集』(逢坂 純・著)は、僕と姉とのLINEや電話での日常会話そのままをまとめた、リアルで赤裸々な対談本です。
幻聴「ぷっちょ」や妄想「TSK」(統合失調症の基本的な症状の略)を、姉のツッコミを交えながら、ありのままに語っています。
家族の視点から見た症状のエピソードが満載で、読むと「自分だけじゃない」とホッとするかも。
冒頭の「急性期」では、病院に行く車でドアを開けて飛び降りた話や、ヘッドバンキング、かたつむりに羽が生えた絵を描いたこと、徘徊や近所で実際に起こった殺人事件との妄想リンク——混沌とした時期の記憶を、姉の客観的な目線で振り返ります。
「僕の体の中に違う魂が入ってると思った」「家族中で犯人じゃないかと大騒ぎ」——読んでいて、急性期の被害妄想や記憶の曖昧さが痛いほど共感できます。
姉の「(私には)聞こえないからぷっちょだよ」の一言が、辛辣だけど優しい。
家では症状を出しても外では我慢——そんな「使い分け」を、家族に「本当の統合失調症じゃない」と言われる葛藤も。
「作家」では、統合失調症を題材に書くことを姉が勧めた理由——「経験を土台にオリジナリティを出せ」の統合失調症当事者作家誕生秘話が語られています。
「ぷっちょ」シリーズの裏話や、肩書き「統合失調症作家」の意味、認知度向上の思い。
姉の「今は武器だけど、いつか名前だけで勝負できるように」——という励ましのエピソードには勇気づけられます。
「仕事」「生活」では、在宅ワークの利点、薬の副作用(眠気、太り)、年金不受給の現実、一人暮らしの不安などが描かれています。
姉の現実的なアドバイス——「親亡き後を考えて勉強しろ」「生活保護の説明をきちんと」——がとても心強く語られています。
「20余年」では、20年以上の病歴を振り返り、薬の変化、回復の兆しが書かれています。
「家族」では、母の口うるささ、父の理解の深まり、姉の「子供扱いだけど信用がないから」の厳しい指摘。
家族関係の複雑さ、会話の多さが「仲良し」の証——当事者として、家族の絆の大切さを実感。
あとがきで姉が「口の悪さや子供のような言動をお気になさらず」と締め、僕のあとがきで姉の現実的な視点に感謝。
症状に振り回されても、家族の支援で生き抜く——そんな希望を感じます。
この本は「ありのままの会話」で、症状を笑い飛ばすような軽やかさがあります。
同じ闘いを続ける皆さんに、そっとおすすめします。
逢坂 純著『話し相手、聞き上手 統合失調症の僕と、姉との対談集』


