『だけどおまえがすきゾ!』(逢坂 純・著、2025年独立出版)は、統合失調症(スキゾフレニア)を抱える青年が、友情と恋に揺れる青春物語です。
当事者である著者が描いたフィクションながら、症状の苦しみと「好きになる」ことの難しさを、非常に正直で切実に綴っています。
精神疾患を「怖い」と思う方でも、主人公の純粋さと葛藤に共感できる、心温まる一冊です。
主人公・宏人は、幻聴や妄想に苛まれ、「人を好きになる余地がない」と感じる男。
頭の中に悪口が流れ込む思考伝播、通りすがりの笑いが自分への嘲笑に聞こえる被害妄想——そんな日常が、深い孤独を生み出します。
「好き」という言葉に大きな責任を感じ、金銭的・精神的に自信が持てず、人を好きにならないと決意。
代わりに映画の世界に没頭し、登場人物の心に触れることで癒しを得る姿は、誰しもが抱える「本当の自分」を隠す気持ちに通じます。
クライマックスは母校での講演の場面では、
生徒たちの拍手が、宏人に「誰かの太陽になれる」と気づかせます。
完璧なハッピーエンドではなく、変わらない日常の中で少しずつ変わる心——それが、統合失調症への理解を深め、勇気を与えてくれます。
この本は「病気があるからこそ、純粋で強い心を持てる」ことを教えてくれます。
精神疾患に興味がある方、青春の葛藤に共感したい方へ、心からおすすめします。


