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逢坂 純著統合失調症を考えるエッセイ『健常者さ~ん、逢坂 純です。』脳のバグが、静かに君に語りかける。幻聴を抱えて、僕は作家になった。

統合失調症という病気を20年以上抱えながらも、作家として発信を続ける著者が、健常者のあなたに直接語りかける一冊です。
 
「名前は聞いたことがあるけど、よくわからない」という方にこそ読んでほしい、静かで率直な当事者本。
 
著者は統合失調症の診断を受けたのは25歳、そして現在49歳。
 
幻聴・妄想が今も続き、陽性症状と陰性症状の両方を経験しています。
 
統合失調症は「メンタルが弱い」からではなく、脳のバグのような病気だと強調。
 
100人に1人の割合で発症する「奇跡的な確率」の病気が、どのように日常を侵食するのかを、自身の体験から丁寧に説明します。
 
始まりは大学生時代の「励まし幻聴」—有名人や先輩の声が頭の中で応援してくれるポジティブなもの。
 
しかし、それが幻聴だと気づくまでの苦しみ、病識(自分が病気だと自覚する力)の難しさ、病院逃走劇、10年近い引きこもり生活…。
 
家族の理解が得られず「やる気がない」「甘えている」と言われ続けた痛みも赤裸々に描かれています。
 
一方で、家族の支えが回復の鍵だったことも強調。
 
姉が幻聴を「ぷっちょ」と名付けて柔らかく扱う工夫、母の癌闘病中の絆、父の徐々の理解。
 
こうした「うち家のやり方」で向き合う姿は、家族がどう寄り添えばいいかのヒントになります。
 
ヘルプマークの活用、障害年金、七月病(夏の不調)、死への不安、言葉の境界線が曖昧になる感覚…。
 
当事者の日常の困りごとが具体的に語られ、「エスパーじゃないんだから」という叫びが胸に刺さります。
 
ピアサポートの重要性も。
 
LINEグループ「すきゾ!」で当事者同士が共感をし合う場、家族会での対話が、孤独を軽減する様子が伝わってきます。
 
B型作業所の在宅ワーク、医療・福祉への繋がり、無理なく生きる「働き方改革」。
 
そして最後に「駄目な自分を受け入れる」ことの大切さ。
 
著者は「統合失調症は個性であり、才能だ」と言う恩師に感謝し、縁に生かされてきたと繰り返します。
 
この本は、統合失調症を「怖い病気」ではなく「脳の病気」として理解する入り口です。
 
あなたの周りに、もしかしたら声に出せない苦しみを抱える人がいるかもしれません。
 
その人に気づくきっかけに、そして少しだけ優しくなれる一冊に。
 
読後、あなたの日常がほんの少し変わることを願っています。

逢坂 純著『健常者さ~ん、逢坂 純です。』

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