この物語を始める前に、まずうちの母の話をしなければいけない。
うちの母は、50歳の時に卵巣癌になった。
医者には、2年は生きれられるけれども、5年は無理だと、宣告された。
初め母は、個室に入院していたのだけれど、
毎日泣きながら過ごす日々の気分を紛らわせる為もあってか、
同じ癌の患者達と一緒の大部屋病室に移った。
母は初め、絶望の中にいて、生きる為の努力を捨てていた。
しかし状況は、それどころではなくなった。母は生きなくてはならなくなった。
それは僕が統合失調症という精神障がいを発病してしまったからだった。
僕の統合失調症は、大学在学中に発症した。
その診断が下されたのは、僕が大学を留年休学して3年経った後だった。
統合失調症の発症の原因は、はっきりとは分からないのだが、自分なりに分析してみた事はある。
まず第一の疑惑としては、大学を留年して、孤独になった事。
統合失調症は環境の急な変化で、発症してしまう事もある。
僕は外国語学部英語学科に属していたが当時、大学に行っては授業にもろくに出ず、
サークルの部室に入り浸ってばかりいた。
そして授業の単位を落としまくって、留年した。
留年してからは、大学に行かず、外出する事も無くなり、一日中下宿のアパートのベッドで寝てばかりいた。
眠りの中で、毎日毎夜、幻聴と妄想に苦しめられていた。
常に夢うつつ状態に陥っており、夢の中で、友人や先輩が僕を訪ねて、激励しに来てくれた。
しかしそれは現実ではなく、妄想だった。
それは、幻聴、幻覚、妄想の始まりだった。
逢坂 純著『僕の頭の中のぷっちょ』より。

