幼い頃から通っていた脳外科で、先生にこれは脳外じゃなくて、精神科だなと言われた。
精神科。僕がどうして精神科に!受付で暴れたのは、その時だったように記憶する。
初めは市立の精神科に通っていた。
僕の他には誰もいない寂しい診察室前の長い廊下だった。
そこで気が付くと一時間や二時間、ボーっと椅子に座っていた事もあった。
診察も幾らしても、僕は俯き只黙ったまま白い顔をしていたので、
先生もお手上げだと思ったかどうかは定かではないが、
僕は紹介状と共に、家の近所のメンタルクリニックに掛かる事になった。
そのメンタルクリニックは開業医だったので待合室から看護師さんから、
何から何までも、市立の精神科とは違った。
看護師さんは女性ばかりで、奇麗な人ばかりがいた。
待ち合い室の椅子はソファーで、そのソファーにはキャラクター物のクッションが置かれ、
様々な年齢対象の読み物が置かれており、
癒しの音楽や映像、熱帯魚の水槽、その全てが癒しの空間だった。
先生は初老の男性の先生で、まるで博士のような雰囲気を醸し出していた。
先生は、とても優しい人だった。看護師さんもとても優しい人達ばかりだった。
先生も、僕が書いた作品を見てくれた。
初めの頃は、僕の作品を見て、「僕も書こうかな」とか言っていた先生だったが、
数年後には「この作品は僕には書けないな」とか、
「君の作品は必ず然るべき場所で評価されるだろう」と予言し、褒めてくれた。
その予言は的中し、NHKのコンクールでは最終審査に残る事が出来、
同じ年には企業の脚本コンペで優秀賞を貰えた。
逢坂 純著『僕の頭の中のぷっちょ』より。

