僕が障がい者雇用で就職した飲食店を辞めてから、一年くらい、
家で映画を観たり、本を読んだり、姉と話したり、脚本を執筆していた。
就労支援施設の事は気にはなっていたのだが、
世間はコロナ禍に陥ってしまい、音信不通となっていた。
その頃、僕はある作家のグループに所属して、創作をしていた。
このコロナ禍の影響もあり、オンラインで集まり、
如何に売れる作品を産みだそうかと、互いの作品に意見をぶつけあっていた。
そこでそのグループの主催者に言われた事が僕を再び就労施設に通う事になるキッカケを生んだ。
グループの主催者は、僕に「人に配慮する事が出来ていない」と言った。
そしてそういう人には、グループとしての作家活動は難しいと言われた。
「人に配慮するってどういう事だろう?」
そう思ったのだが、自分一人だけで考えても、答えは出て来なかった。
そこで、僕は以前通っていた就労支援施設に2年振りに電話を掛けた。
以前、懇意にしてもらっていた所長は、施設を辞めたと聞いたのだが、
以前僕が通所していた時に居た職員さんが、電話に出た。
僕はその職員さんに言った。
「明けましておめでとうございます!」
正月も過ぎ、時節はあと一〇日余りで3月になるという時だった。
職員さんは言った。
「遅いよーー!」と。
僕はその職員さんに質問した。
「人に配慮するってどういう事ですか?」と。
はっきりとしたその質問の答えを教えて貰えたかどうかは、覚えていないが、その職員さんは、こう言った。
「もう一回、うちに来ないか」と。
一も二も無く、僕は再び作業所に通う事を決断した。
そして、職員さんと一緒に「人に配慮するとはどういう事か」という課題を考え、
通所する日々が始まった。
逢坂 純著『僕の頭の中のぷっちょ』より。

