幻聴に悩まされて、それが妄想に発展していくと、自分は何か誰かに悪口を言われてるんじゃないかと考えてしまう節があります。
そんな時に姉の助言がありました。
「ま、いっか」
と頭をコツンと叩いて、舌をテヘペロと出しなさい。
それで万事解決だと言うのです。
それを作業所の職員さんに言ったら、「それは理に適ってる」と言われ、それで気持ちが軽くなるのなら、それはいい方法だ、と言ってくれました。
伊達に福祉の勉強をしてた姉じゃないと今更ながら思いました。
幻聴発動:「ま、いっか」テヘペロ。
「そうしたら、もう私達、二度と会えなくなっちゃうね」
彼女が言った。
「だってしょうがないだろ。君の夢なんだから」
僕が彼女の目を見ずに、言った。
「でも、ホントにそれでいいの?」
「君の夢なんだろ?本場ブラジルでコーヒーを栽培したいんだろ?」
彼女は答えた。
「うん・・」
「ああ・・」
二人の間にぼんやりとした空気が流れた。
僕はグラスを手にアイスティーに一口
口を付けた。彼女はティーカップのコーヒーを飲んだ。
「君の夢なんだろう?。僕にはそれを止める権利なんか無いよ」
「地球の反対側に行っちゃうんだよ」
「うん、分かってる」
「朝と夜の時間も違うけど、太陽も月も同じ太陽と月になるんだよな」
僕が彼女にそう言うと、
「そうだね」
と彼女は言った。
「寂しくなるね」
僕は彼女に言った。
彼女は一言、
「寂しくなったら月を見てよ。同じ月を」
「ま、いっか」
彼女はそう言って、コツンと頭を叩き、舌を出して笑った。
彼女は冗談でそう言ったのかも知れないけど、その時僕は彼女に向かって上手く笑えなかった。
こういう時は女性の方が強いらしい。

