20代代前半で統合失調症を発症したのですが、それまでは普通の大学生でした。
いや、普通じゃないかも知れません。
下宿のアパートは築30年のボロアパートで、
セパレイトの風呂はあったのですが、風呂に入るのが苦手で、
風呂に入らずに大学に行っていた時もありました。
その頃からもう統合失調症の影が忍び寄っていたのかも知れません。
もし当時、彼女が出来ていたら、僕のその先ももしかしたら変わって行ったのかも知れません。
だけど、そうはならず僕は単位足らずで、大学を留年し、
周りの友人は卒業していき、孤立していって、外出する事も少なくなり、
一日中、ベッドで寝てばかりいる日々が続き、
統合失調症への道を少しづつ歩み始めていったのでしょう。
『精神障がい者と付き合っていくには、努力が必要』
さっきから呼び鈴が何度も鳴っている。
僕はベッドから気だるく目を開いて、ドアの方を見た。
今日、何日だろう、今何時だろう。
カーテンの引かれた窓は、日の光を遮断して今が朝なのか夜なのか、分からなかった。
と、ドアが勢いのある音を立てて開いた。
彼女はベッドに横たわる僕を見て言った。
「何だ、居るんじゃない」
僕は彼女に返事もせず、また目を瞑った。
返事をする気力が沸かないのだ。
「電話も通じなかったし、携帯料金払ってないの?」
彼女はそう言いながら靴を脱いで、部屋に上がり込んできた。
そして彼女はベッドで横たわる僕に言った。
「どうしたの?体調悪いの?」
「・・・ああ、うん」
彼女は床の上に散らばる幾つものカップ麺の空を、半透明のゴミ袋に次々に放り込み始めた。
「大丈夫?こんな物ばっかり食べてたの?」
彼女は作業の手を止めずに、僕に言った。
「俺、このまま死ぬのかな?」
「ホントに大丈夫?部屋片付いたら、何か美味しい物作ってあげるから」
彼女はてきぱきとした口調で言った。
「何か食べたい物ある?」
「何か食欲無い」
僕、ホントにどうなっちゃんだろう。
「体調悪いの?病院連れて行ってあげようか?」
「起き上がる気力が無い」
「うーん・・」
彼女は僕の顔を心配そうに見つめた。

