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S・O・S

家族は、僕が統合失調症を発症した時、

近所の人に僕の事を聞かれた時に、ちょっと病気でねー、今家で療養してるのよーと言っていました。

どうしたのー?と聞かれた時には、うん、ちょっと体調崩してねー、と言っていました。

近所の人に詳しく言う必要も無いと思っていたようですし、わざわざ自分からその事を言わなくてもいいと思っていたのでしょう。

と僕の事を聞いて来た人も大変ねーの一言で済ましていました。

当事者の僕が日頃からしっかりした対応をすれば、統合失調症への偏見も無くなるのではないかと思っています。

『S・O・S』

確か、今来ている実習生の女の子二人は、看護師学校から来ていた筈だ。

「君たち、血の止め方は分かるだろ!」

僕は思わず声を荒げてしまった。

彼女たちは、身をすくめ、膝から座り込んでいた。

彼女たちは今にも泣き出しそうだった。

その時、学生時代にボクシングをやっていた男性職員が言った。

「ワセリンがあれば血が止められる。ワセリンには血止めの効果がある!」

続けざまに男性職員は女性職員に向かって叫んだ。

「誰か、ワセリン持ってないか!」

女性職員は動揺しながら、その目の中の動揺を隠せずにいた。

「私、持ってます!」

手に持ったワセリンのリップクリームをかざしたのは、作業所の女性メンバーの一人だった。

メンバーの女性は、僕にリップクリームを渡した。

僕は上向きに寝かせた所長のワイシャツがどんどんと血に染まっていくのを見ていた。

「早く!」

誰かがそう叫んだ。

僕はリップクリームの蓋を震える指でこじ開けた。

僕はワセリンをチューブから手に取り出し、

所長のワイシャツのボタンを外し、シャツをまくり、ワセリンを患部に塗り込んだ。

「うわーー!」

ワセリンが染みるのか、所長はうめき声を挙げた。

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