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逢坂 純著 連作短編小説・詩歌集『還り道』知らない世界がここにある、幻と現実の堺で生きていくということ。

これは、普通の人がほとんど知らない「頭の中の世界」を、静かに、時には激しく、描き出した物語です。著者は、統合失調症という病を抱えながら生きています。
幻聴が聞こえ、現実と夢の境目が揺らぎ、突然訪れる不安や、逆に訪れる不思議な幸福感——そうした「当たり前ではない日常」を、彼は短い物語の形にして、私たちにそっと手渡してくれます。本書『還り道』は、56編からなる連作短編集です。
一編一編はまるで、頭の中を覗き込む小さな窓のよう。
ドーベルマンに襲われる恐怖、海の底でマーメイドと出会う幻想、毎夜のように見る「いつもの夢の街」、恋する喜び、家族とのすれ違い、引きこもりの中で見つけた小さな光……。
どれもが、作者の実際の経験や感覚を基に書かれています。でも、この本は「病気のこと」を説明する本ではありません。
むしろ、「人間のこと」を描いた物語です。統合失調症を知らない人こそ、ぜひ読んでほしい。
なぜなら、私たちが「普通」だと思っている世界と、たった一つの病気のせいで全く違う景色に見える世界が、ここでは同じ高さで並んでいるからです。
読むと、きっと驚くと思います。
「こんな風に世界が見えていたのか」と。
そして、どこかで「自分も似たような気持ちになったことがある」と、ふと思う瞬間があるはずです。この作品は、怖がらせるためでも、哀れんでもらうためでもありません。
ただ、作者が生きて感じた「本当のこと」を、ありのままに書いて、誰かに届けたいという想いから生まれました。「共感こそ、最大の障害受容になる」と、作者はあとがきで言っています。知らないからこそ、読んでみてください。
あなたの中に、たった一つでも「わかる」と感じる場所ができたら、それだけでこの本は成功です。静かで、激しくて、優しくて、痛くて、
それでもどこか希望を失わない——
そんな、著者の魂の還り道。初めて統合失調症という病気に触れる人にこそ、
心を開いて読んでほしい一冊です。

還り道 連作短編小説・詩歌集 amzn.to

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