僕は自分では人当たりが悪くはない方だと思っているのですが、
それは周りの皆さまのお陰でもあります.
僕の書く習作には、人が死ぬものが多いという感想を頂きました。
僕の周りの人たちのお陰で、僕の悪い面をうまく隠してくれているのかな、と思います。
僕の内面は、自覚していないだけで、ドロドロのグチャグチャかも知れません。
そこで、そのドロドログチャグチャ故に描いた人が死ぬ習作を、
何とか明るい光の差すような作品にしたいと思って、試行錯誤してみました。
『私の秘密』
私は今、65歳だ。周りの人には45歳ぐらいに見えるね、と言われている。
私が本当はひょうきん者だと言う事を、私の周りの人は誰も知らない。
1人でいる時、ついバブリーダンスを踊ってしまう私を知っているのは、飼い猫のサバトラ猫の、ミシェルくらいだ。
私はみんなの前では、言葉数の少ない寡黙な男だと思われいる。
私は本当は面白いもの好きだー!
そう皆の前で宣言したい。
だけどそれは叶わない。
だって、私は会社の皆には真面目でそば好きな堅物上司と思われているからだ。
若い頃は、良かった。
何のしがらみも無く、自分の心の中のものを、素直に吐露出来たから。
今日は私の退職の日。
今日こそ、私が面白いというのを、部下の前で明かさなければいけない。
それが私の最後の望みだ。
俺はこんなに、面白いんだぞー!
そんな事を一人っきりのこのエレベーターの中で言っても、誰も聞いてはいない。
今日、多分私は誰にも、自分の面白さを披露する事無く、会社を去って行くだろう。
私の中に、脈々と渦巻く面白もの好きの嗅覚、それも誰も知る事も無い。
それでいいのかも知れない。
私が豹変したら、周りの皆は私の事をどう思うだろう。
だから、それは私だけの秘密。
誰にも明かせない私だけの秘密。

