僕は、夢でいつも同じ街の夢を見ます。毎回、違う場所なのですが、それが僕にはいつも同じ街の中のように感じてしまうのです。レオナルド・ディカプリオ主演の「インセプション」という映画も夢の中で繰り広げられる物語なのですが、同じように僕も夢の中の街をリアルに感じてしまいます。
夢の中には、味わいのある銭湯があります。その銭湯はうちの近所にあって、うちの町内には相応しくないような木造りの銭湯です。
それは夢でした。いつの間にか、夢の中の銭湯が実際にうちの近所にあると思っているのです。小学校以来、行った事の無い僕の町内の近所に、その銭湯は実は存在していないのです。
僕はだけれども、その夢の街が好きです。ビル街には、書店が何件も並んで立っていて、その書店街も銭湯のある僕の街と同じ街なのです。
『夢で見るいつもの街』
孝之は眠かった目が一変に覚め、頭を持ち上げた。
「ここは見覚えがある」
孝之は言った。孝之は眠る前まで、別の場所にいたような気がした。孝之は今、自分は眠っていて夢の中にいるのだと、何故か確信していた。
しかし、そこは本の積まれた埃っぽい書斎だった。
孝之は自分がいる場所は、何故だか孝之をしっくりとさせた。
何度も来た事がある、この場所には、孝之はそう思った。
そして、孝之には、家を出てすぐ前にある公園も、その先にある小学校の通学路になっている道路も、その道沿いにある桜の時期になると桜が奇麗に見える川べりも、思い出せた。
青年は見覚えのある街の中にいた。青年の歩く先に見えるのは科学館だった。確か、この科学館には、入場無料で入れるんじゃなかったか?と孝之は思った。
夢なのに、夢の中なのにその街は、孝之にはとてもリアルなものに感じた。
「この街は、夢の中で実在している」
孝之は思った。孝之にも無料で入場できる科学館がありありと記憶にある。
夢の中に実在する街、その街は孝之が夢の中でその街を見る以前から存在していた。

