今、コロナが世の中に蔓延しているというのもありますが、去年から映画も観に行ってないし、食事も外食など一切していません。先日、母の誕生日だったのですが、その日も僕は夕食はヤマザキのカレーパン二つで、両親はスシローに寿司を食べに行きました。
それでも僕は何の不服もありません。外出はパワーが無いと出来ません。
そこで一つ、思い出した事があります。知人で僕の上司的な役割に当たる人と以前、その人のオゴリで寿司を食べに行ったのですが、人にオゴッて貰った経験の無かった僕が食べた寿司の皿は、三皿でした。
『外出するのは、力が要る』
「え?」
ミモザは、我に返って、美香の方を振り返った。
美香と言うのは、ミモザがアルバイトで知り合った友人の事だった。
ミモザはアルバイトを辞めたが、美香とはそれ以来の付き合いだ。
「何?」
美香は、ミモザに聞き返した。
「え?」
美香は訝し気に首を傾けた。
「今、私の事呼んだでしょ?」
「あー、だってミモザ、歩くの速いんだもん」
「ごめん」
ミモザは歩く歩幅を落とした。
ミモザが外出するのは、約一か月振りの事だった。
「最近、調子はどうなの?」
美香がミモザに聞いた。
「調子がいいから、出掛けられるんじゃない」
ミモザはそれが当たり前のように答えた。
「そっか。良かったね」
美香はそれだけをミモザに言った。
本当は、もっと言ってやりたい事が多かった。でも、美香は口を噤んだ。
けれども美香は本当は言いたかった。
みもざが今日、ひと月振りに外出できるのも、
みもざの家族の献身的なサポートがあっての事だと。
だけれども、美香はみもざにそれから何も声を掛ける訳でもなく、笑顔をみもざに向けた。
「だけど、何食べる?」
みもざが美香に言った。
「みもざの好きな物なら何でも」
美香はそう言って、二人は手を繋ぎ、歩いて行った。

