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まぼろしを見て徘徊する。

僕は、統合失調症になりたての頃、

よく外を徘徊していました。

散歩とも違う。徘徊でした。

ここは前に訪れた事がある場所だ!と、

僕の小学校の時の通学路を

頭をグルグルと振り回しながら、走っていました。

今思えば、よく警察に不審者として通報されなかったなと思います。

何を思って、そんな事を考え、徘徊していたのか、

今となっては謎です。

当時の僕には、その時の自分の頭の中では、理路整然とした理屈に基づいて、

歩き回っていたのだろうと思うのですが、

今思えば意味不明です。

中村ゆきさんの『うちの母はトーシツです』というエッセイ漫画の中に、

母親がいきなり警察署の中で服を脱ぎ出し、下着一枚になったというエピソードがあるのですが、

多分、その母の頭の中にも、その時、どうしても服を脱がなきゃいけない理由が、

彼女の中にはあったのではないかと推測します。

僕もその時、同じまぼろしを見て、街を徘徊していたのではないかと思います。

大事にならなくてよかったです。

『まぼろしを見て徘徊する』

朝、起きたらすこぶる調子が良かった。

これは、いい兆候だ。

その朝、僕は朝4時に起きていた。

いつもよりも2時間早い。

外はもう夏も終わり、真っ暗闇だった。

僕は呼ばれるままに外に出掛けた。

誰かが僕を呼んでいる。

その声は、知らない人のようで、実は前から知っている人。

だけれど、それが誰なのか、僕には思い出せなかった。

思い出そうと、懸命になるが、一向に思い浮かばない。

大通りに出た僕の前に車が停まった。

運転手は、車の窓を開け、乗りなさいと言った。

運転手の女性は絶世の美女だった。

その女性には見覚えがあった。

知っているようで、初めて会ったようでもある。

僕の記憶は造られている。

見知った顔も、実はそう思わされているだけなのだ。

全ての記憶は、僕のものでは無い。

僕はその見知らぬ美女の車の助手席に颯爽と乗った。

車は走り出す。

僕の心も走り出す。

そして僕は闇夜に消えて行った。

もう、ここには戻ってくる事も無いだろう。

もう、僕は戻らない。

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