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同重人格。

テレビの中の芸能人は、実は周りの誰かの仮の姿なのかも知れないと思っています。

そう思うのは、母や父や友人の言動とテレビの中の芸能人の言動が重なる時です。

周りの人間が、実は僕なんじゃないかと思う時もあります。

それはやはり、僕の考えとその誰かの考えが重なってしまう事があるからです。

人には個性があります。

その個性を見つめれば、決して自分とその人が一緒だなんて思う事は無い筈です。

僕は人と真摯に向き合いながら、付き合っていないのかな?と思います。

『同重人格』

事務机で顔を合わせて、僕とスーツの男は机の上の紙を見ていた。

スーツの男の襟には、秤の印の襟ピンが付いていた。

彼は弁護士だった。

そして僕は今、自分の娘との決別を約束されようとしていた。

「この印鑑をここに押して終わりになります」

僕は目の前の印鑑を見つめていた。

もう、娘とは二度と会えなくなるんだ、そう思うと涙が滲み出て来た。

それをグッと堪えた。

何故、こんな事になってしまったんだろう。

来年の春から、娘はイギリスに留学をする。

娘は本格的に演劇を勉強しに、留学を決めたのだった。

その為には、こんな前科者の僕は邪魔らしい。

娘には前科の事は何も話していない。

娘には、最後まで僕はいい父親であって欲しいと思ったからだ。

親ばかな一人の父親であって欲しいと思ったからだ。

娘の母親は、つまり僕の前妻は僕に対して、最後まで優しかったが、娘の事となると、急に厳しい眼差しになった。

彼女も娘には幸せになって欲しいのだ。

僕とて同じだ。

娘には幸せになって欲しい。

だから、笑顔でさよならだ。

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