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月夜に待ち人来る。

中島みゆきさんのライフワークにもなっている夜会。

歌の実験劇場と呼ばれ、作詞作曲、構成、主演、脚本に至るまで中島みゆきさんが手掛けている舞台の事です。

その夜会で、僕が好きなのは夜会Voⅼ.5の『花の色はうつりにけりないたずらに、我が身よにふるながめせし間に』なのですが、

その夜会のテーマは『待つ』です。

四つの季節に登場する女が、人を待っているのですが、待ち人には会えません。

そして現れた5人目の女の時間泥棒は、待つ事をやめて、待ち人に逢いに行くというラストを中島みゆきさんは歌い上げています。

ラストシーンで出ていた大きな満月はとても印象的でした。

『月夜に待ち人来る』

月を見ていた。

もう何時間くらい月を見ているのだろう。

冬は月の出ている時間が長い。

私は泰を待っている。

泰というのは私の恋人。

夜の満月は泰の笑顔の様。

私はベンチに座って泰の笑顔を見ていた。

――いつの間にか眠ってしまっていたみたい。

私が目を開くと、泰の満月のようなまん丸な顔が私を見ていた。

「ごめん、遅くなった」

バチコーーーン!

私はあの人の頬にグーでワンパンチ入れた。

「遅いじゃない!。こんなに待たせて!私が誰かに襲われたらどうしてくれるのよ!」

夜のベンチの前のモニュメントが私の声で揺れたような気がした。

私の長い夜は泰への説教をして過ごす事になりそうだ。

私は泰と夜中の月に照らされてロマンチックな夜を過ごすという計画はおじゃんになった。

「いつも言ってるじゃない!守れない約束はするもんじゃないって!」

「い、いや。僕はちゃんと」

「守ったぁ?どこが約束守れてるのよ!もう三時間も遅れてるじゃない!」

仲がいいのか悪いのか、二人の夜はまだまだこれから始まるようだ。

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