妄想、幻聴が酷かった日々。あの頃は、本当に妄想に引っ張られていた日々でした。
幻聴の呼ぶ声に、家の外に飛び出し、妄想に翻弄され町の中を徘徊していました。
僕が見る景色は、妄想を通しての町の風景であり、家族だったのです。
あの頃見た景色を忘れないように、僕はこの文章を書いているのかも知れません。
頭で何を考えていたのを、幾分、客観的に自分の事が見られるようになった今、こうして記しておきたいのです。
あの頃の自分を忘れないように。
『僕から見た別世界』
毎朝起きると、頭の中で舞台のセリフが聞こえてくる。この世は自分が主人公の舞台だ。
セリフは常に決まっている。僕は頭の中に聴こえる声に従って、ドラマの登場人物になって、ドラマを進行させるだけだ。
セリフ以外の言葉は、一つも無い。
舞台に登場する役者は、誰もがその主人公だと言う事に気付いていない。
それを毎日続けていく。僕が今居るのは、舞台の上なので、絶対に死なない。死なないが、自分自身が全て作り物なので、死を実感しない。そして舞台を降りない限り、生きている。
私語厳禁と決められているのに、人は舞台上で、気付かれないようにセリフに交えてお喋りをする。
皆が普通にそうやって舞台の最中にお喋りをしているのを、自分だけはその方法を知らない。
僕は毎日、演じなければならない。何故なら毎日、常に頭の中に送られてくるセリフ通りに生きなくてはいけないから。
誰かが僕を嘲る。それはセリフか私語なのか。僕は何も出来なかった。
何も出来ないなら僕を舞台から降ろして欲しい。
多分、この作られた世界は、この先、50年、100年と親子代々に引き継がれ続けていく。
誰もそのシステムを変える事は出来ない。
僕が死んだとしても舞台の幕は降りない。
永遠に舞台は続く。僕には、それを止める力も無いし、誰にも止められない。
僕がある時、ハッと我に返る瞬間、舞台は突然、終わる。
只、誰もその事に気付かない。永遠にこの舞台は続く。

