昨日は作業所のレクリエーションで、木下大サーカスに行ってきました。
サーカス自体は、物凄く面白かったんです。
ですけど、サーカスに生気を全部吸い取られてしまったようで、帰りの送迎の車の中では、
終始無言。作業所に戻ってからも、ヘナヘナになりながら、
父の迎えを待ち、颯爽と父のお迎えの車で家路に着きました。
疲れた時には、僕は人が死ぬか、人が消えるかのような物語しか書けません。
それが疲れているせいなのか、それとも病んでいるせいなのかは分かりませんが。
取り敢えず、書いてみました。
そんな風にして書いた習作だからって、どうか嫌いにならないでね(ハアト)。
『無言の帰り道』
久しぶりに母さんと一緒に歩いた。
ウォーキングというやつだ。
冬の寒い中、二人で結構、遠くまで来た。
片道2時間、僕も母さんも、もうこれ以上歩きたくなかった。
帰りは、家に電話してに父さんに迎えに来て貰う事にした。
父さんの迎えを待つ間、休憩の為に漫画喫茶に入った。
二人とも無言で、僕は高橋留美子の『めぞん一刻』を、母さんは『オレンジページ』を読んでいた。
母さんは余程疲れたらしく、雑誌の何を見るともなく、ページをパラパラとめくって疲れを癒しているようだった。
窓の外はもう真っ暗で、風が強かった。
無言で漫画と料理雑誌を読みふける僕と母さん。
二人とも疲れていた。
無言だった。
沈黙が流れた。
先に口を開いたのは、母さんだった。
「認知症の人って、ご飯食べさせてあげても、まだ食べてない、意地悪してご飯を貰ってないって叫ぶんよ」
「そうなんだ」
僕は何気なしに母さんの言葉を聞いていた。
「私がまだ子供だった頃にね、うちのおばあちゃんがそうだったのよ」
「そうなんだ」
僕はめぞん一刻のページを捲りながら、言った。
「もうお腹一杯なのに、ご飯を貰ってないって騒いで、それでも私はご飯をあげなかったのね」
「うん」
母さんはオレンジページのピカタのページを開いて、思いに耽っているようだった。
「飼ってた猫がね、ある日突然、いなくなったの」
「猫?」
僕は顔を上げて、母の顔を見た。
母さんは、恍惚とした顔つきで話し始めた。

