幻聴で聴こえる言葉の意味は、考えるだけ無駄だと言うのです。
確かに聴こえる内容には、およそ意味不明な誰に言っている言葉かも分からない内容の言葉があります。
例えば、
「どうしてくれんねん!」
とか、関西弁で聴こえる幻聴とかだった時、
僕は、関西の大学時代の友人が、僕がしでかした秘密の事が、その友人にはなぜかバレてて、どうしてくれるんだ!と言っているように聴こえるのです。
それを姉に言うと、そんな事を考えるのは、無駄の一言に尽きない、幻聴は意味の無い言葉なのだから、と言います。
後から、そう言われて少し考えればそれがその通りだという事が分かるのですが、まだまだ僕の統合失調症は深いです。
『幻聴の意味を考えても意味がないという事』
――お前のせいじゃー。
え?俺のせい?
僕は人込みの中にいた。
スクランブル交差点には、散り散りになって人の群れが広がっていた。
その中を僕は耳を塞いで、駆け出していた。
向かって来る人込みにぶつかりながら、人波を抗えて、進んで行った。
――お前のせいだ!
再び、僕の耳に、いや頭に男の声がつんざいた。
僕は何をしたんだ!??一体僕に何の非があるんだ!?
スクランブル交差点の信号機が点滅を始めていた。
交差点の点滅は赤色に変わり、疲弊した僕の目の前を車たちが走り出して来た。
夕闇迫った通りは、ヘッドライトが僕の顔を明るく眩しく照らしていた。
僕は只、一生懸命に毎日を生きているだけだ。
誰の邪魔もしていない。僕は誰も傷つけてはいない。
――お前のせいだ!
僕のせいじゃない!僕のせいじゃない!
僕はスクランブル交差点を渡り切り、耳を塞いだ。
僕は只、一生けん命生きてるだけなんだ!
と、目を瞑って耳を塞いで、今にも叫び出しそうなのを我慢して走った。
と、突然何者かにぶつかって僕は倒れた。
ぶつかったのは、女性だった。
女性は、ぶつかった拍子に小さなポシェットの中身をぶちまけていた。
「すみません、大丈夫でしたか?」
僕は女性の手を引いた。

