僕は優作のアパートの前に着くと、駐輪場にマウンテンバイクを停めると、優作の部屋のある二階の一番奥の部屋へとすぐさま走った。
あいつめー、あいつめー、僕は、奴に何て言ってやろうかと、そればかりを考えながら、優作の部屋へと向かった。
僕は優作のアパートのドアノブを握り、ドアを開いた。優作が一人暮らしをしてから、毎週この部屋に来ているから、インターフォンなど無用でドアを開けるのが習慣になっていた。
フライパンで何かを炒める音がする。
何だ、ちゃんと酒のつまみ、つくってるんじゃないか、僕はそう思い、靴を脱ぎ、部屋に上がり込んだ。
「何であんなLINEしたんだよ。訳によっては、許さんぞ!」
そう僕は言いながら、キッチンを覗いた。
そこには、僕の顔を驚きの表情でマジマジと見ている女子が居た。
「あ、あの……」
と、奥の部屋の引き戸が開いて、優作が顔を出した。奴は僕の顔を見ると、すぐさまこう言った。
「お前、LINE見てないのか?!今日は、絶対来るなって言っただろうが!」
僕はその言葉より、今自分が置かれている状況を優作に尋ねたかった。この女はだれなのか、どうしてこの女と今、ここにいるのか、と。
「あの、初めまして、古賀朝子と申します」
古賀朝子と名乗る女はフライパンを置いて、僕に向かってそう言って、頭を少し下げた。
僕は古賀朝子に向かって、多分、少しどもりながら、みっともなく自分の名前をボツリボツリと名乗ったのだろう。
お見合いしている僕と古賀朝子を見兼ねて、優作が頭をクシャとやって言った。優作が頭をクシャっとやるのは、奴が困っている時だ。
「しょうがない、古賀さん、入ってよ」
古賀朝子と名乗る女は、優作の言葉巧みな話術に誘導されるように、リビングに入って行った。そして優作は僕に向かって、一言も発する事なく、リビングに来いと顎をしゃくり上げた。

