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僕は病院が、すきゾ!

昨夜の妄想は、中々にヤバかった。今は取り立てて、恐ろしい幻聴妄想も収まったけど、ちゃんと服薬をせねば、また再発の危機だ。

診察室のドアを出ると、母さんが青い顔をして心配そうに、僕に言った。

「どうだったの?」と。

僕は母さんの心配をよそに、取り立てて悩んでもなく、あっけらかんと言った。

「暴力的な妄想幻聴が無ければ、別に大丈夫だって」

確かに昨夜の妄想には、暴力的なものは無かっ

たように思えた。しかし、その陰に隠れた狂気は

確かにあったように思う。僕の世界は、頭の中で

破綻していた。決して医師の言う様には安心出

来なかった。普段通りいつも通り、元の生活に戻

っていく事は、簡単なようで随分と難しいのだ

ろうと思えた。

まだ心配そうにしている母さんを見て、僕は大

丈夫だよ、と笑った。

大丈夫だ、危険なんかあるもんか、僕はそう自分

の心の中で何度も唱えた。

人間には、自制心がある。あんな風に騒ぎ立てた

のは、心を許せる家族がいたからだ。そんな事を

公共の場でやる事など絶対にしない、そう僕は

固い誓いのように、自分の中で宣言した。

自分でさえも知らない僕の一面がそこにはあった。僕は大丈夫だ、僕は正常なんだと言葉に出さず、何度も頭の中で呟いた。その考えは、自分のものではないように、僕の脳みそを緩やかに刺激した。

僕は死なないし、犯罪も起こさない、大丈夫だ、

大丈夫だ。僕は悪い妄想を息を殺して呑み込むように、しなびやかに頭の隅から不安を消し去った。

僕のこんな人生は、多分今日これからも、そして明日も明後日も、半年後も一年後も続くだろう。それを意識して、毎日を過ごそうと決めたじゃないか。その時も同じ事を思ったじゃないか。僕は母さんは一抹の不安を、,チビた消しゴムでは消せない400字原稿用紙の桝を埋める文字のように、所々を、霞が掛かり視界を塞いだ夜の運動場のように、感情はチグハグに僕の中を出入りした。

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