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僕は映画が、すきゾ!

僕は優作のアパートへ心躍らせて、向かっていた。毎週土曜日、その日は、優作と一緒に奴の部屋のハイビジョンテレビで映画を観ると決めている日だった。

それは僕が優作と出逢ってから今まで、毎週やっている事だった。

僕は、ドラッグストアでその日の飲み物を選んでいた。飲み物担当が僕で、食べ物担当は優作の役目だった。優作にはトップバリューのビール、僕は薬の飲み合わせを考えて、カフェインの入っていないルイボスティーの1ℓのティーパックを選んで、買い物かごに入れた。

僕が棚から優作の飲むビールを手に取って、缶に書いてある説明を読んでいると、(毎回買う物は一緒なので、それを読む必要は本当は無いのだけれども)、高校時代の映像研の顧問鬼頭が僕を見つけて、僕の方に歩いてきた。

「おう!武田君!」、相変わらず鬼頭の声はデカかった。

僕は平静を保ちながら、鬼頭に向かって表情を崩さず答えた。

「先生もお買い物ですか?」

僕は鬼頭の買い物かごを覗いた。買い物かごには、豆腐と納豆と食パン、プレーンヨーグルトが入っていた。僕が鬼頭の買い物かごの中身を見つめていると、鬼頭が言った。

「晩御飯の買い物です」

鬼頭の後ろには綺麗な女性がいた。鬼頭の奥さんだ。この男は去年、結婚したばかりの新婚ホヤホヤだった。彼の奥さんは結構な美人で、コイツがいくら頭を禿散らかしたデブでがさつな36歳のオッサンであっても、そんな奴のいいところを分かってくれる女性がいるのだなと思って、そんな鬼頭が少し羨ましかった。

「武田君、君はまだ優作の家に行ってるのかい?」

「そうですよ」とだけ、僕は答えた。何か文句でもあるんですか?と言いたかったが、奥さんの手前、言葉を飲んだ。

「じゃあまだ毎週、二人で映画観てるんだね」

はい、そうですけど、と僕は鬼頭に言った。

「武田君も松下君もいつまで一緒にツルんでるの。だから二人とも彼女が出来ないんですよ」

真面目メガネの割には、がさつでデリカシーの無い男、鬼頭。

僕はその言葉をスルーして、鬼頭とその奥さんに軽く頭を下げて、早々にその場を立ち去った。

「大学でもしっかり勉強しなよー」

鬼頭のその声を背中で受けながら、僕はレジへと向かった。

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