僕が統合失調症になりたての頃は、家に居て、本当に誰とも口を利かなかった覚えがあります。
自分の家族に怯え、外に出る事もせず、自分の悪口を言う幻聴が常に頭の中に聴こえてきて、あの頃にはもう戻りたくないと思います。
調子が良くなってきた時に、母親と二人でカラオケに行った事があります。
カラオケには、防犯のための監視カメラが付いており、
僕はそのカメラのせいで、妄想を引き起こし、
母親と喧嘩になり、
一人で歩いて、国道の歩道を歩いて家に帰った覚えがあります。
あの頃に、もっと楽しい幻聴や妄想があったのなら、僕はあの頃を懐かしむだろうと思います。
『幻聴と話す』
サイクロン掃除機を掛けている斗真。
斗真は時計を見ながら、イソイソと掃除機を掛ける。
部屋にたった30分前まで転がっていた脱ぎ散らかした服は洗濯場のバケツに放り込まれていた。
キッチンの食器も奇麗に片づけられていた。
「どうしよう、もうこんな時間だやばい!」
時計は、10時30分を回っていた。
――そうそう、お前はそういうとこ、馬鹿なんだよ――
男の声が斗真の頭の中で響いた。
「うるさい!」
―駄目よ。女の子の手も握った事のない坊ちゃん相手にそんな事言っちゃ――
今度は女の声が、斗真の頭の中に響いた。
「二人とも、ちょっと黙っててくれ!」
――あら、ごめんなさい。。――
女の声はシナを作るように言った。
――でもよう、お前の家にその子が来てくれるって事は~―
男の声が斗真の頭の中で斗真をからかう様に言う。
―って事は~―
女も斗真の頭の中で斗真をからかう。
「お前ら、絶対出てくんなよ」
―つまんない~~―
男と女の声が同時に斗真の頭の中で言った。
クッションに座って時計の進む針を見ている斗真。
時計は12時を回っている。
――来ないんじゃね?もしかして―
男の声が言った。
――もしかして振られちゃった?アハハー
「うるさい!黙ってろ!」
と、外で救急車のサイレンの音が鳴り響く。
「もしかして!」
斗真は立ち上がり、部屋のドアを睨んだ。

