統合失調症の症状で、これって他の人もそうだよね?と思う事がよくあります。
例えば、三軒先に住んでいる人の話し声が聞こえたり、
新聞を取りに表に出ると、いつも必ず誰かしら人が出てきているとか、
まあ、妄想と言えば妄想なのですが、
まあ、幻聴と言えば幻聴なのですが、
僕にだけ起こっている事じゃなく、皆、そういう事があっても、
誰にも言わず、やり過ごしているのではないかと、
病院に言って、その事を先生に話して、それで統合失調症と診断されるか、
何も言わずに、素知らぬ顔をして、健常者になるか、
そういう事だと僕は思っていました。
本当にみんな、こんな事、感じない?そんな思いでいつも、人と付き合っています。
『僕だけじゃない』
怯えているのは、俺一人だけではない筈だ。
この館に集められた全員がそう思っている筈だ。
この奇妙な館。
初めは10人、居た筈だった。
今は俺一人。
誰とも行き会わない。
皆、どこに行ってしまったんだ。
皆の声だけが、このホールの外から聴こえてくる。
クスクスという笑い声も。
嘲っているのではないのは、分かる。
もしかして、その声は泣いているのか?
姿形は見えないが、その戸棚の中に君はいるのか?
戸棚を開ける勇気はない。
何が入っているかは、想像なんてまるでつかない。
その中にあるのは、悲しみに打ち勝とうとする勇気。
俺は戸棚を開けた。
しかし、そこには何も入っていなかった。
想像なんだ、全部。
始めから、目に見えない何かを、想像の世界の中で俺は作り上げていたのだから。
あの10人は、本当に居たのだろうか?
始めから俺一人だけ。
そうなんじゃないのか?
次の瞬間には、俺自身も無くなっているのじゃあないのか?
その次の瞬間が来る前に、この屋敷を抜け出そう。
あれ?この屋敷には扉が無い。
始めからそうだったのか?
もう何もかも分からない。
始め何があって、今、何があって、お終いには何が残っているのか?
何も分からない。

