僕が書く創作作品は、それを書くだけで既にもう統合失調症の作品になっているのだと、最近は思い始めました。
雇用されているピアサポーターの人の中には、
自分は当事者スタッフなのだから、何か特別な事をしなくちゃいけないという葛藤に苛まれる人も少なくないのだそうです。
その葛藤から抜け出すと、自分は特に特別な事をしなくても、当事者である前に自分という個性を持った人間だからと、思えるようになるそうです。
だから、僕も意識的に統合失調症を題材にした習作を書かずにいるのも、それはそれでいいのかもと思います。
『彼女と一緒に居られたら』
「今日、楽しかったね」
僕は彼女に言った。
彼女は僕よりも病状が安定していなく、外出は3時間程度が精いっぱいだと言う。
今日は駅の噴水前広場で待ち合わせて、有名な珈琲店で、コーヒーを飲んだ。
僕は生クリーム入り、彼女はブラックを頼み飲んだ。
その店は全体的に間接照明で、ほの明るく照らされており、
落ち着いた雰囲気で、お客さんが沢山いてもそんなに気にならない感じの、
とても僕達には向いている店だ。
彼女とは、三時間その珈琲店でお喋りをして、
会話を楽しんだ。
人込みを避けて、この珈琲店を選んだのだが、
3時間のお喋りは、彼女はちょっと疲れたよう。
僕と彼女は乗る電車が違うのだが、彼女は駅に彼女の母親が迎えに来てくれると言っているので、
僕は彼女と一緒の電車に乗り、彼女を彼女の母親の待つ駅まで送り届ける事にした。
今日、彼女が僕の事を好きだと分かった。
今日はそんな嬉しい日だった。
特別な言葉なんて、何一つ言っていない。
だけど、僕の想いが彼女に伝わって、彼女の想いも僕に伝わって来た。
大切な彼女だから、僕は彼女を彼女の降りる駅まで送る事にした。
彼女の降車駅までの電車の中で、僕は初めて彼女と手を繋いだ。
それはもう僕には、天にも昇るくらいの嬉しさだった。
このまま、この電車がいつまでも彼女の降りる駅に着かなければいいのにと思った。
ずっと彼女と手を繋いでいたかった。
僕は彼女の横顔を見ていた。
彼女の短く切ったボーイッシュな髪型は、小さな彼女の可愛さをより可愛く見せた。
このままずっと、彼女と一緒にいたいと思えた。

