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冒険の約束。

大学時代の友人と、富士山に登ろうという計画を立てた事があります。

一度目は、友人が大学を卒業して、他県から僕の実家にはるばる遊びに来てくれた時、

二回目は自分が物書きを目指そうと改めて決意した時。

どちらも計画は実行されませんでした。

体調面でも金銭面でも、安定していなかったからでしょうか、

どちらとも結局はその約束は流れてしまいました。

言葉だけでなく、一度でいいから本当に富士登山をしてみたいものです。

『冒険の約束』

僕は今、東京タワーの展望台外の階段を上っている。

一般の人間は立ち入り禁止区域だ。

外気は寒く、手袋を嵌めていない指先は、錆びた手すりの冷たさを一層、冷たく感じさせられる。

東京タワーにこんな風に上ったのは、小学校の時の家出以来だ。

あの時は、引っ越し前日だった。

僕達は、次の日の別れを無い物にさせようと願って、東京タワーに登った。

そして今日が僕達が別れてから、再会しようと言った約束の日だった。

本当にあいつらは、今日のこの日の約束を覚えていて、ここに来てくれているだろうか。

「十年後の今日に、またここで逢おう」

あれから10年が経った。

僕達はあの時、小学生だった。

あれから僕には沢山の出会いと別れがあった。

だけども、あの時の別れ以上に辛い別れは無かった。

僕達の青春は、あの時最高潮を迎えていたように思っていた。

だけども、それは錯覚だったのかも知れなかった。

それから僕は中学、高校、大学を卒業し、いくつもの恋と出逢いを経験した。

それはとても貴重な奇跡だった。

だけども、それ以上の奇跡は、

僕が小学校の時に感じた仲間という結束には敵わないと今でもそう思っている。

そう思い僕は今日、この東京タワーに登っている。

今日、ここに集まる約束を一体誰が覚えているだろうか。

小学生の子供じみた沢山の約束の一つだと誰もが思っているだろうか。

あの約束を神聖なものと思っているのは、僕だけなのだろうか。

展望台の外階段を上る僕を待っている人がいるだろうか。

僕は仲間を信じて、錆びた階段を上る。

友情を信じて。

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