映画「マトリックス」でもそうですが、箱根駅伝を舞台にした「風が強く吹いている」でもそうだし、ロードバイクの学生レースを舞台にした『泣き虫ペダル』にも、それらの全ての作品で訴えている事に『役割』という言葉があります。
マトリックスでは、世の中を動かす一人一人が役割があるとし、風が強く吹いている、泣き虫ペダルでは、レースに勝つための団体戦での、各々の試合での役割を表しています。
僕は今、就労支援事業所に通所しているのですが、その中でも僕にしか出来ない役割というものが出来たらいいなと思っています。
職員さん皆には、それぞれの役割があるように思えるし、利用者さん一人一人にも、きっと決められた役割があるのでしょう。
自分が自覚しているいないに関わらず。
僕はその社会での良い意味で歯車の一人になって、社会で活躍したいです。
『役割という命題』
僕は逃げた。逃げ道を探した。
僕を追い掛けて来るのは、近所の変質者の女。
彼女は真夏にロングコートを着ていた。
その下には、一糸まとわぬヌードだった。
彼女は僕にコートのボタンを外して、裸体を見せつけた。
その乳房は汚かった。
そんな夢を見た。
この夢にうなされ続けて、もう一年が経つ。
夢は何かを暗示していると、夢占い師は言った。
僕の夢はどんな事を意味しているのか。
テレビでは、僕の母さんが映っていた。
ゆったりとしたソファーに座り、インタビュアーの質問に答えていた。
母さんはインタビュアーに向かって言った。
「生き方を間違った子供なんて、たったの一人もいません。みんな、それぞれが人生の主役なんです」
母さんは僕の目の前でも、同じ事を言った。
嘘だ・・・。
母さんが父さんと怒鳴り合っているのを、僕は毎日聞いていた。
僕は間違った人生を送って来たの?
僕は一生懸命探した。僕の生まれたわけを。
僕はいつの間にか森の奥深くの倒木に腰かけていた。
僕は誰だ。僕は真実に辿り着けない。
僕の周りの全ての物が、ガラガラと音を立てて崩れた。
そこは産婦人科の助産院の一室。
あそこに寝ているのは、母さん?
母さんが抱いているのは、誰?
ここは僕が生まれた場所。
間違ってはいない。間違ってない。
母さんは生まれたばかりの僕に向かって言った。
「生まれてくれて、ありがとう」
そうか。僕は羊水の中でずっと夢を見ていたんだ。そうだ。僕は今、生まれたんだ。

