僕は松下優作の事が好きだ。だけどそれは、別に愛してるとかそんなんじゃない。よってカミングアウトをしている訳でもない。
スキゾフレニア、僕の病名だ。精神障がいなのだ。この病気は幻聴や妄想が聴こえたり、何もやる気が起きなくて一日中、ベッドで寝ていたりという症状がある。
近頃では、その認知度は高まってきたとは言えるが、まだまだその実体を知る者は多くは無い。
その症状は10人いれば10通りの症状があると言われていて、僕と一緒の病気だとしても、一緒の症状では無い人も多い。
僕は、高校一年生の時に、今の病気を発症した。その為に高校一年生の時は、丸々一年間、学校を休学した。
その時の僕は、外の景色を見る余裕も無く、
僕と同い年の若者が青春を謳歌しているのを羨ましがる元気も無かった。
別に孤独が嫌いだった訳じゃない。一人で行動するのも何ら苦になっていた訳じゃなかった。
病気の当事者が抱える悩みは人それぞれだったが、僕は一人教室で孤独でいて、皆の視線が僕に向けられるのが、辛かった。だから僕はいつも皆の視線から逃れるように、一人で教室の隅にいた。
けれど、僕には親友が出来た。松下優作だ。高校一年生を一年留年し、もう一度一年生をやるハメになった時に、孤独な僕に声を掛けてくれたのが、彼だった。
彼は教室で一つ年上の僕に、他の生徒からは「先輩」と冷やかし混じりの呼ばれ方をしていた中で、僕の事を「なあ」と声を掛け、僕の机の上に滑り込むように座った。
初めは馴れ馴れしい奴だなと思ったが、次第にそれが彼のコミュニケ―ションの手段だと分かり、僕は彼を好きになっていった。
だけどそれは、別に愛してるとかそんなんじゃない。もっぺん言うけどカミングアウトをしている訳ではない。
彼は僕に学校生活をエンジョイして貰おうと思ってか、SF映像研究会、略して映像研に入部した。その時の顧問が映像研の顧問となった鬼頭だった。
映像研には鬼頭を含めて部員(鬼頭は顧問なので、正確にはカウントされないのだが)、三人しかいなかった。
だけども、映像研に入った事で、そして優作のお陰で、僕は留年してもグレる事なく、高校を無事、卒業出来た。
それも何もかも優作の働きあっての事じゃ。褒美を取らそう。苦しゅうない苦しゅうない。

