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静かに燃えてる男。

昨日も今日も変わらない一日だった。しかしそれを変えたのは、一本の電話だった。

それは知人恩人友人からの電話だった。電話の声はやけに明るかった。

恐らく沈んだ気持ちの僕を察してくれていたのかも知れない。

確かに僕の心は沈んでいた。重なる時は重なるものだ。

自分から招いた厄は三つに重なって、三重苦となっていた。

重なるものは重なるものだ。その三重苦は一変に晴れていった。

 僕はこの三日間、風呂にも入らず、歯も磨かず、服も着替えず、怠惰というには軽すぎる程の感情の平板化のうちに過ごしていた。

誰が悪いというのでもなく。いいや、気付いていないだけで、僕が全て悪いのだろう。

それに気付けずにいた僕は、今はもう別人のように、45度の風呂に入り、天然パーマでクルクルと縮まった髪の毛をドライヤーで乾かし、新しいシャツを着て、頬から顎に掛けては、剃刀を当てて、ツルリとした肌になっていた。

物語には、ストーリーがなくてはならない。

僕の物語には、ストーリーがあるだろうか。

自分の感情の浮き沈みは、自分の頭の中だけで起こっていて、表から見たら、これと言って何ら変わって映らないだろう。

僕は背広の中に、情熱を隠している。それは言葉にも態度にも示さないから、一見、静かな人に見えるようだ。

僕は静かに燃えるタイプの男。他にはいないタイプの男。結構、みんなそれを分かっている。僕は燃える男。 

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