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僕はドキドキが、すきゾ!

「へー、凄い。大学でロボット工学勉強してるなんて」優作は油科さんに嘘を吐いた。どうせなら、良い印象をという優作の要らぬお節介だ。

「ちょっとお手洗い行ってきます。何処ですか?」と、油科さんは席を立った。

「教えてやれよ」と、優作はアルバムから目を離さずに、僕に言った。

僕は、席を立ち、油科さんをトイレに案内した。

部屋を出た僕と油科さん。

油科さんは部屋を出ると、僕の手を握った。

「ワッ?!」

僕は迂闊にもドギマギして声を挙げてしまった。油科さんはドングリ眼で、ジッと僕を見つめた。

「武田さんて、意外とウブなんですね」彼女はそう言って、口に手を当てて笑った。

油科さんは、僕を壁際に立たせて、その前に立ち、首をコクンと頷かせた。

僕は彼女の手を振り払い、自分の部屋へ駆け出していた。

部屋に慌てて入って来る僕を、優作が見て、「どうしたんだよ、ちゃんと彼女、トイレに案内したのかよ」と言った。

僕は優作にも古賀さんにも何も言えなかった。何故かは僕にも分からなかった。

彼女は、古賀ビッチ朝子が仕組んだ、ヒットマンなのか?どうしてトイレに案内するだけで、こんな事になったんだ?

僕の心臓はまだドキドキしていた。

夕方になっていた。雨はもう上がっていた。

「連絡先ぐらい交換しとけよ」、優作が僕に促した。

油科さんはトイレでの出来事など、無かったかのように、僕にLINEのIDを事も無げに教えた。

「良かったな」、優作は僕に肘で横っ腹を突いた。思いの外、その力は強くて、僕はウッと呻いてしまった。

優作は、古賀さんと油科さんを送って行くと言って、僕と別れた。

新たな刺客、油科恵、恐るべき敵の登場だった。

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