クタビレタ透明のビニールの置き傘。帰りはじぶんひとりで帰れの合図。一時間前から、白色のライトバンが停まっている。精神病院のロゴが側面には貼られている。ぼくは迎えを待っていた。雨は止んできていた。
ぼくは自分の履いているメーカーが何処だか分からないような反射光の星が付いている運動靴の踵を水たまりに漬けたり踵を浮かしたりして、迎えの車を待っていた。
急に耳がキューンと鳴った。まただ。いつも一人で迎えの車を待っているとそうなる。
ぼくは耳を塞ごうともしない。
もう慣れっこになってしまっているからだ。
耳鳴りも幻聴も、音楽をiphoneで聴くようにして、頭の中を流れている。
この二、三日、ずっとそんなだ。 妄想だけは別だ。妄想はぼくの頭を緩やかに通り過ぎない。僕の頭を悩ませる妄想。被害妄想。やめられない止まってくれない誰にも言えないぼくの暴走した妄想。

