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僕は監督が、すきゾ!

映像専門学校に入れば、幾らでもプロの機材で思う存分、映画を作れると言うのに、どうして、今、なのだろうか。

優作は僕に言った。

「ここが俺のスタート地点だ」と。

優作は、映像専門学校に入って、映画を撮る技術を学ぶ前に、自分の力だけで作品を作ってみたいんだと僕に言った。

映画のストーリーはこんな感じだった。夢を追い求める男女二人が、自分の夢と恋の間で、葛藤しながらも、夢も恋も手に入れようとする恋人同士の姿を描いたものだった。

古賀さんの恋人役が、この僕だった。

撮影のカメラは「iphone13Pro」。

真剣に映画を撮ろうと思う気持ちがあれば、機材は関係無いと、優作は言った。

古賀さんも、自分の演技の勉強になると、優作の初監督作に協力的だった。

劇中では、真実の愛を知らないヒロインの恋人役の僕が、ヒロインと出逢って、本物の愛を知っていくという話だった。どうして、優作はこんな役を僕にやらせるのだろう、と思った。恋人役なら、実際の恋人の優作がやればいいのに、と思った。

「俺はあくまでも監督をやるんだ」と優作はヒロインの相手役をあくまでも僕にやらせたがった。

油科さんとは、あれ以来連絡も取り合っていなかった。だけれど、僕はその方が良かった。

僕はあの夜の事を苦い経験として、思い出したくも無かった。だけれども、映画撮影中も、僕の頭の中は、油科さんの事ばかり考えていた。

「カーット!」

映画撮影は順調に進んだ。

僕達は、その日の撮影を終えて、優作のアパ

ートで映像のチェックをしていた。

優作は、パソコンのディスプレイ画面を観ながら、油科さんとの仲を聞いてきた。

「油科さんとは、どうなってるの?」と。

「別に」と僕は答えた。

古賀さんは、黙って僕を責めるような目つきで、見つめた。

僕には、その視線が何よりも痛かった。

古賀さんは僕と油科さんの仲を見透かしているように、僕を見つめていた。

パソコンのディスプレイには、古賀さんと僕が、映っていた。僕ってこんなに間抜け面だったかな、と思いながら、僕はディスプレイに映る自分の顔を見ていた。

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