笑顔を研究している。笑顔の練習とは言わずに、僕は笑顔の研究とそれを呼ぶ。
あの子に振り向いて欲しいからだ。
その子はいつも素敵な笑顔で、みんなに挨拶をしている。
あの子の笑顔を真似してみたら、僕も笑顔になれるだろうか。
僕は鏡の前であの子の笑顔に近づけるように、毎日鏡の中でほほ笑んだ。
髪を伸ばし始めた。
あの子の笑顔に近づく為だ。
メガネを取って、コンタクトにしてみた。
あの子になりたいからだ。
こんな僕の行為は、変だろうか。
小学校の時、水泳の時間で皆が教室を出て行った後、僕はだれもいなくなった教室へ忍び込んで、あの子のスカートを履いた。
その時から、あのドキドキが忘れられない。
背徳の心をその時から知ってしまった。
僕があの子の笑顔に惹かれるようになったのは、あの子が僕の言う事にいちいち頷き、共感してくれていたからだ。
あの子の笑顔には、敵意が無かった。
僕はそれに癒されていた。いや、あの子の笑顔を自分のものにしたかったのだ。
朝起きて、鏡を見たら長い髪の毛、カールされたまつ毛、血色のいい唇、スカートからスラリと伸びた足。
僕は彼女になっていた。
その時、僕は彼女の笑顔を自分のものに出来た。

