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僕の才能が無くなったら。

僕がほうれん草の胡麻和えを好きじゃないから、彼女は僕の事を好きになってくれないのだろうか。

僕が天才的な数学の能力の持ち主だから、彼は僕の事を好きだと思ってくれているのだろうか。

僕は体力測定のソフトボール投げが嫌いだった。

嫌いで嫌いで、その日の朝、仮病を使って小学校を休んだ。

その日、彼女も学校を休んだらしい。彼女に聞いたら、それは仮病だと言った。

僕も同じだよと彼女に言うと、彼女は僕の事を好きに思ってくれた。

僕に天才的な数学の才能が無くなったら、彼はもう僕の事を親友だと思わなくなってしまうのだろうか。

数年前から、僕の脳はところてんのようになって、大好きだった数式も見たくもない記号に変わった。

それでも、彼は僕に対して以前と変わらず、対してくれた。彼は「今が君の人生の岐路」だと言って僕の肩を叩いた。

僕は今まで何の失敗もせず、歩いて来たような気がする。

いいや、それは自分が何もしないで人生を歩んでいる事に満足していたから、何も起こらない人生に満足していたからだ。

彼は僕の初めての挫折に、肩を貸してくれた。

僕の腕に肩を回し、僕を立ち上がらせてくれた。

何だか、二人三脚のようだった。

だけど、僕はその時、彼を誇らしく思った。

彼の事をこれまで以上に大切に思った。

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