今日観た映画は、原作も読んだけど映画の方が断然面白かった。
彼女に薦められて読んだその小説は、読後、何かモヤモヤした感じを残し、
晴れない天気のようでスッキリとしなかった。
その彼女も、今は何処で何をしているのやら。
彼女の開くキッチンカーで売るコーヒーのお店に僕が行くようになったのは、
丁度、一年前。入社した会社に幻滅と絶望の淵に沼っていた頃の事だった。
ベンチで座っていた僕にキッチンカーの彼女が声を掛けて来た。
いや、僕があまりにも絶望に浸っていたから、声を掛けてくれたと言うべきか。
彼女は一杯のコーヒーを僕に煎れてくれた。
その珈琲の黒色は、よく言えば深淵の黒色、悪く言えば、海に流れ出した原油。
僕はそのコーヒーに、飲まれた。彼女に呑まれた。そこから僕らは始まったのだ。
本当にそうだったのか……。
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今日の売り上げも総合すると、原価割れだ。
私の夢の、キッチンカーの珈琲屋さん。
理想と現実、そのギャップはあまりにも深い。
そんな時、私は彼に出会った。ベンチに座った彼にコーヒーを差し出した。
計算が無かったと言えば、嘘になる。
彼に別れを告げられて、一年。次の恋に進もうと思っていた。
彼のソフトモヒカンは、ちょっと時代遅れな感じ、私の恋人に少し似ていた。
前の恋人を忘れる為には、新しい恋が必要だ、と言われ、街コンにも幾つか誘われた。
私はウジウジと元カレと一緒に買ったペアリングを捨てる事も出来ず、彼の想い出にひたすら浸っていた。
そこに現われたのが、彼だった。
運命なんて嘘ばかりだと思った。その時、私が感じた事だ。
髪型だけじゃなく、顔もふとした仕草も元カレの恋人を思い起こさせた。
私は背徳心と一緒に彼に恋をした。

